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CUNY、ナノスケール4Dプリンティング技術、治療開発を高速化

April, 2, 2020, New York--ニューヨーク市立大学(CUNY)先端科学研究センタ(Advanced Science Research Center at The Graduate Center)とノースウエスタン大学(Northwestern University)の研究者は、細胞表面の複雑さを再現するパタン化表面を構築できる4Dプリンタを作製した。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
 論文によると、研究者は、有機化学、表面科学、ナノリソグラフィを統合して精密設計のナノパタン化表面を作製できる。表面は、繊細な有機、つまり生物学的分子で装飾されている。その表面の用途は広い。薬剤研究、バイオセンサ開発、先端オプティクス。重要なことは、この技術は、多様な材料で表面を創れる点。これらの材料は、高価なフォトマスクや退屈なクリーンルームプロセスなしで表面がパタン化される。

そのプリンティングプロセスは、Polymer Brush Hypersurface Photolithography(ポリマブラシ超表面光リソグラフィ)と言い、マイクロ流体工学、有機光化学、先端ナノリソグラフィを統合して、マスクフリープリンタを実現。プリンタは、繊細な有機物質、生体物質の多重アレイを作ることができる。その新しいシステムは、他の生体材料プリンティング技術に現在存在する多くの制約を克服する。これにより、研究者は、各ボクセルで、精密に構造化された物質、目的に合わせた化学組成の4D物体を作れるようになる。つまり、研究チームの言う「超曲面リソグラフィ」である。

「研究者たちは、生体分子で表面をパタン化するためにリソグラフィ技術の利用に取り組んできたが、これまでのところ、細胞表面ほどの複雑なものを作れるほどの高度なシステムを開発していない。われわれは、このシステムを使うことで、研究者が生きた細胞で起こる相互作用を複製し、理解できる合成細胞をアセンブリできると考えている。これは、薬剤や他の生物誘起技術の急速な発展につながる」とCUNY博士課程学生、Daniel Vallesはコメントしている。

概念実証として、研究チームは、各ボクセルでポリマ高さを制御するために正確な光量を使い、ポリマブラシパタンをプリントした。自由の女神像で示したように、マイクロ流体工学と光源の間の協調が、各ボクセルで化学組成を制御している。

論文の共著者、Nathan Gianneschiは、「ポリマ化学は、そのように強力なツールとなる。また、ポリマ化学におけるイノベーションは、前世紀を通じて主要な技術の推進力であった。この研究は、このイノベーションをインタフェースにまで拡張する。そこでは、任意の構造を、高度に制御されて作製でき、われわれは作製したものを評価し、他のポリマへとそれを一般化できるようになる」とコメントしている。

研究チームは、この新しいプリンティングプラットフォームの開発を継続し、システム速度を速め、ピクセルサイズを減らし、パタン化できる材料の範囲を広げるために新しい化学を展開する計画である。現在、チームはこのプラットフォームで作製したパタンを使って生命システムにおける認識を決定する巧妙な相互作用を理解しようとしている。
(詳細は、https://asrc.gc.cuny.edu/)