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微小ワイヤレスデバイスが脳の内部構造を明らかにする

February, 27, 2020, Boston--アリゾナ大学の研究チームは、シングルニューロンレベルで脳を観察することで痛み、抑鬱、中毒や一定の病気のメカニズムを明らかにするデバイスを開発した。

哺乳類の脳は、身体の中で最も複雑な臓器であり、数千の刺激を同時に処理して、パタン分析を行い、変化を予測し、高度に計算された行動を生み出す。脳が、この全てを、1秒以下でどのように行うかは、まだ未知である。

個々のニューロンレベルで脳をプローブすることができるインプラントは、研究者にとって一般に利用できるものではない。日常的な設定で身体が活動している間にニューロン活動を研究することは、一層難しい。モニタリングデバイスは、一般に、研究参加者と制御ステーションを接続するワイヤを必要としているからである。

アリゾナ大学、ワシントン大学、ノースウエスタン大学の研究者は、極微小ワイヤレス、バッテリフリーデバイスを開発した。これは光を使って個々のニューロンを記録し、神経科学者が脳の活動を見ることができるようにしている。研究成果は、Proceedings of the National Academy of Sciencesに発表された。

そのプロセスは、まず選択したニューロンを、活動により明るさが変わる染料で色をつける。次に、デバイスが、その染料を照射し、ニューロンの生化学的プロセスを見えるようにする。デバイスは、人の髪の毛よりもわずかに幅広のプローブを使ってその変化を捉え、次にそのニューロンの活動を直接読み取って処理し、情報を研究者にワイヤレス伝送する。

アリゾナ大学のバイオメディカルエンジニア、博士課程学生、研究の主筆、Alex Burtonによると、デバイスは1個のM&Mよりも小さく、重量はわずか1/12である。

デバイスは、バッテリを必要としないので、微小であり、一枚の紙のように柔軟である。それは、外部の振動する磁界からエネルギーを取り入れ、デバイスの微小なアンテナで集められる。これにより研究者は、制約的な装置なしで脳の活動を研究することができ、科学者は、脳の基本的なメカニズムを研究するプラットフォームが得られる。

「そのデバイスを作製する際に、われわれは直ぐに利用できる安価な材料と方法を使った。これにより、科学界がそのツールを大規模採用できるようにした。われわれは、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患と闘う上でその技術が力を発揮すること、また、痛み、中毒、抑鬱などの生物学的メカニズムを明らかにすることを期待している」と研究のシニアオーサ、Philipp Gutrufはコメントしている。
(詳細は、https://uanews.arizona.edu/)