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3Dプリントセルでがん細胞を捉える

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February, 10, 2020, Atlanta--患者サンプルの数十億の血液細胞から一握りのがん細胞を見つけることは無駄骨となり得る。3Dプリントされた細胞トラップで可能になった新しいアプローチで、研究者は干し草を除去してがん細胞を露出させる。

がん細胞程度のサイズの白血球をトラップし、より小さな赤血球細胞を除去して、後に残るのが腫瘍細胞である。次に、これを病気の診断に使い、再発を早期に警告することができる、またガン転移プロセスを研究することができる。研究は、ジョージア工科大学の研究チームによるもので、血流を循環する腫瘍細胞を迅速かつ低コストに分離できることで個人化ガン治療の目標を促進できる。

「血液サンプル全体から循環する腫瘍細胞を分離することは、難題である。われわれは、数十億の正常な赤血球と白血球細胞に混ざった一握りのガン細胞を探しているからである」と同大学電気・コンピュータ工学(ECE)准教授、A. Fatih Sariogluは話している。「このデバイスでわれわれは、ほぼ全ての白血球細胞を捕らえ、次にサイズ順に赤血球細胞を除去することで、臨床的に関係がある血液量を処理できる。その後に、無傷の腫瘍細胞が残る。これを並べて特定のガンタイプ、各患者の腫瘍固有の特性を判定することができる」と同氏は説明している。

研究成果は、Lab on a Chipで報告されている。

循環する腫瘍細胞を捕らえる他の方法は、ガン細胞に所定の表面マーカーを認識するマイクロ流体技術を利用して血液から取り出そうとするものだった。しかし、ガンは時間とともに変わるので、悪性細胞は確実に認識されない。またたとえ捕らえられても、腫瘍細胞は、デバイスの迂遠なチャネルから除去され、損傷を与えることなく抗原から分離されなければならない。

Sariogluのチームは、異なるアプローチをとることにした。抗原を並べた3Dプリントトラップを作り、サンプル内の白血球細胞を捕らえる。その3Dプリントトラップにより、研究チームは、血液サンプルを通過する白血球細胞を捕らえる表面積を大きく拡大することができた。ジグザグの流体チャネルは、1mの半分になるものもあるが、全ての白血球細胞がチャネル壁と接触する確率を高める。

「マイクロ流体デバイスの利用は、チャネル高さ50~100 µmの単層にすぎない。厚さはあるが、そのほとんどは空虚なプラスチックである。3Dプリンティングを使うことでわれわれは、シングルチャネルから解放され、その空間利用を向上させる3次元的に多くのチャネルを作ることができた」と同氏は説明している。

3Dプリンティングでチャネル密度が向上したが、それは、大きな課題に直面した。初期のマイクロ流体デバイスは、血液を運ぶためにエッチングしたチャネルに設計されていた。しかし層ごとに構築する3Dプリントプロセスでは、より多くのチャネルを上に構築するには、チャネルをワックスで満たさなければならなかった。その拷問のようなチャネル構造は、細胞壁インタラクションを最大化するように設計されているので、製造後にそのワックスを取り出すことは実質的に不可能だった。

ソリューションは、高速回転してサンプルを分離するように設計された標準的な遠心分離機に収まる細胞トラップを設計することだった。そのトラップは遠心分離機の中で加熱され、さらに高速回転し、溶けたワックスを逃がす。液体ワックスを除去した後、チャネルは抗原コーティングされた。

白血球細胞が除去された後、より小さな赤血球細胞がシンプルな商用フィルタを通り抜ける。これによってガン細胞と残っている白血球細胞がトラップされる。腫瘍細胞は、次にフィルタから除去できる。フィルタは3Dプリントされたデバイスに組み込まれている。

血液サンプルの最小処理が、そのプロジェクトの目標である。クリニックや病院が、特別な技術を必要とすることなく、そのプロセスを利用できるようにするためである。処理が少ないことは、腫瘍細胞に対する損傷リスクも減らし、評価を歪める可能性がある他の細胞変化も最小化する。

原理的テストの証明の一環として、研究チームは白血球細胞をビオチンで被覆し、テストを加速した。将来の細胞トラップは、ビオチンプロセスなしで、細胞をチャネル壁に引きつけるように設計された抗原を使う。

研究チームは、健康な人から採取した血液にガン細胞を加えて、そのアプローチをテストした。いくつの細胞が加えられたかが分かっているので、いくつ取り出すかを言うことができる。また、実験は、そのトラップが腫瘍細胞の90%程度を捕らえられることを示していた。前立腺ガン患者からの血液サンプルを後にテストし、血液サンプル全体10ミリリットルから腫瘍細胞を分離した。

前立腺、乳ガン、子宮ガンからの細胞を含むテストをしたが、Sariogluは、そのデバイスは、どんなタイプのガン細胞からも循環するガン細胞を捕らえることができると考えている。除去機構が、ガン細胞よりも、血液細胞をターゲットにしているからである。

次のステップは、デバイスのチャネルを細くすること、ビオチンの利用なしで白血球細胞の除去、白血球抽出率の向上、細胞トラップを接続してトラッピング容量を高めること。

「これは、臨床医にとって実際、有効なツールになる。われわれの研究室では、そのデバイスを病院、クリニック、他の施設で利用できるほどにシンプルにすることで、われわれの研究を変換する考えである。これにより、患者の病気診断に役立てることができる」。