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EPFL、次世代ソフト張力インプラントを開発

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December, 16, 2019, Lausanne--マサチューセッツ眼・耳(Massachusetts Eye and Ear)、ハーバード医科大学(Harvard Medical School)の医者と共同でEPFLの研究チームは、機能不全内耳の患者が再び聴力を取り戻す適合電極インプラントを開発した。この新しいデバイスは、多くの欠点をもつ既存の聴性脳幹インプラントを置き換えることができる。
 世界で50万人程度の人々が深刻な聴力障害に苦しんでいる。場合によっては、渦巻き管や他のタイプのインプラントに救いを見いだすことができる。しかし、これらのデバイスは、内耳に損傷がある、あるいは聴覚神経が正しく機能しない人々には役に立たない。
 このような患者が聴覚を回復するためには、電気信号を直接聴覚脳幹に送らなければならない。この目的のために使用される人工神経は、聴覚脳幹インプラント(ABI)と呼ばれている。しかし、ABIの結果は、種々雑多である。多くの場合、患者は音知覚のみを回復する。さらに、臨床ABIは硬く、聴覚脳幹の湾曲に正確に適合しない。
 この問題に対処するために、EPFLのソフトバイオ電子インタフェース研究所(LSBI)のStéphanie Lacourチームが、ハーバード医科、マサチューセッツ眼・耳の臨床医と協力して、ソフト電子インタフェースを開発した。その高弾性インプラントは、聴覚脳幹の湾曲面に巧妙に適合する、したがって電気信号を狙って送ることができる。それは、マウス試験で成功しており、インプラントの表面はわずか0.25㎜2である。また、人体への利用に適したサイズで、現在の外科技術に適合する形状で製造されている。臨床試験に向けてさらに研究を行う。研究成果は、Science Translational Medicineに発表された。

日本のキリガミからヒント
 新しいインプラントは、シリコーンにカプセル化されたプラチナ電極の形状適合アレイで構成されている。「プラチナに注目した。それがすでに臨床状態で広く利用されているからである」と論文の筆頭著者、EPFL工学部ポスドク、Nicolas Vachicourasは説明している。
 残念ながら、プラチナは、傷つけることなしには曲げることができない剛性金属である。研究チームは、この困難を克服するために、伝統的な日本のキリガミ技術を適用し、Y形状パターンをメタライズしたプラスチックセグメントにエッチングした。次に、その金属をミクロン寸法で加工した。使用したのは、集積回路のマイクロファブリケーションで一般に見られる技術である。結果は、極めて適合的な、高い導電性電極インプラントである。
 EPFLの研究チームは、すでに他のアプリケーションを視野に入れている。「われわのデバイスの特徴は、あらゆる種類のインプラント可能神経機能代替に価値がある。例えば、脊髄、脳、末梢神経で神経活動を刺激、あるいは記録するために利用されるようなものである」とStéphanie Lacourは説明している。