All about Photonics

Science/Research 詳細

TAU研究チーム、患者の細胞を使って初めて心臓を3Dプリント

heart-Fig-580-3_0

April, 22, 2019, Tel Aviv--テルアビブ大学(Tel Aviv University)の研究チームは、大きな医学的ブレイクスルーで、患者自身の細胞と生体材料を使い、血管が新生された特注心臓を世界で初めて3Dプリントした。これまで、再生医療の研究者は、血管のない、単純な組織のプリンティングにしか成功していない。
 「これは世界初である。だれでもどこでも、細胞、血管、心室とチャンバーを持つ心臓全体の設計とプリントに成功する」とこの研究を指導した、Tal Dvir教授はコメントしている。
 心臓病は、米国の男女の主要な死因である。心臓移植は現在、末期心不全患者が利用できる唯一の治療である。心臓ドナーが圧倒的に不足しているので、病気の心臓の再生に新たなアプローチを緊急に開発する必要がある。
 「この心臓は、人の細胞と特定患者向け生体材料でできている。われわれのプロセスでは、これらの材料は、生体材料として役立ち、複雑な組織モデルの3Dプリンティングに使える糖類やタンパク質でできた物質である。これまで、心臓の構造をなんとか3Dプリントしようとしてきたが、細胞や血管が存在しないものだった。われわれの成果は、将来、特注の個別化組織と臓器置き換えのアプローチの可能性を実証するものである」とDvir教授は話している。
 研究のために、患者から脂肪組織の生検をとった。組織の細胞および無細胞材料は分離された。細胞が多能性幹細胞になるように再プログラムされたのに対して、細胞外マトリクス(ECM)、コラーゲンや糖タンパク質などの細胞外マクロ分子の3Dネットワークは、プリンティング「インク」として使える個別化ハイドロゲンに加工された。
 ハイドロゲルと混合された後、細胞は効率的に分化されて心臓、つまり内皮細胞になり、患者特有の免疫適合心臓パッチを作った。これは血管があり、したがって、心臓全体である。
 Dvir教授によると、「ネイティブ」患者特有材料の利用は、組織や臓器のエンジニアリングが成功するために極めて重要である。
 「特注材料の生体適合性は、移植片拒絶のリスクを除去するために極めて重要である。拒絶反応は、そのような処置の成功を危険にさらす。理想的には、生体材料は、患者固有の組織の同じ生体化学、機械的、トポロジカル特性を持つべきである。ここでは、3Dプリントされた厚く、血管新生された、灌流できる心臓組織への単純なアプローチを報告している。これは、患者の免疫的、細胞、生体材料および解剖学的特性に完全に一致している」とDvir教授は話している。
 研究チームは現在、プリントされた心臓をラボで培養し、心臓のような「動作を教える」ことを計画している。次に、その3Dプリント心臓を動物モデルに移植する計画である。
 「われわれは、プリントした心臓の開発をさらに進める必要がある。細胞は、ポンピング能力を形成する必要がある。現在、収縮できるが、それらは一体となって動作させなければならない。われわれの方法の効力と有用性の証明に成功することを望んでいる。恐らく、10年以内に、世界中のトップクラスの病院には臓器プリンターがあり、それらの処置が日常的に行われるようになる」と同氏は話している。