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動物実験を減らす多臓器チップを開発

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January, 21, 2019, Dresden--ドレスデンの研究チームは、いわゆる「マルチオーガン(多臓器)チップ」を開発した。フラウンホーファー材料およびビーム技術IWSドレスデン(Institute for Material and Beam Technology IWS Dresden)が開発したこのマイクロシステムは、血流や動物、人間の臓器をシミュレートする。
 「ラブ・オン・ア・チップ」”lab-on-a-chip”は、以前よりも迅速な新薬や化粧品の開発に役立つ。「われわれは、多くの動物実験を不要にすることになる」とDr. Udo Klotzbachはコメントしている。加えて、このシステムは個別化医療への扉を開く。ここでは医師は、数年ではなく数日以内に個々の患者に最適な処置を決めることができる。
 IWSシステム開発者Dr. Frank Sonntagの説明によると、マルチオーガンチップの最新のパラレルフローバージョンは、臓器の血流の多様なレベルを置き換える。”European Association of Research and Technology Organisations”(研究・技術組織欧州協会)は、この最新の開発を画期的であると捉えている。経済への影響は非常に大きいと見られている。
 Udo Klotzbachは、「薬や化粧品の開発のための動物実験は、いずれ完全禁止になる。オランダは先駆者であり、他の国々が追従する。したがって、われわれのシステムの実現可能性は大きい」と考えている。世界中の産業研究所、研究施設は、以前から動物実験に代わる技術を見いだそうとしてきた。最良の多臓器チップ開発レースで、米国などの国々が数億ドルをR&Dに投資することがある。
 研究チームは、複数の層から多臓器チップをアセンブリする。レーザを使い、まずそれに続く血管、臓器細胞のチャンバおよび他の機能素子を切ってプラスチックフォイルに入れる。次にこれらの膜を相互に重ね、それを接続し、センサ、バルブ、ポンプ、コネクション、物質変換器と電子制御を加える。このように組み立てられた多臓器チップは、約3×10㎝、ピルボックスサイズである。
 医療、美容業界のユーザは、これらの多臓器チップの「チャンバ」に、例えば肝臓、心臓あるいは他の臓器の細胞を入れる。次に、人工血流をスタートし、試験物質を導入する。シミュレートされた臓器間の相互作用で、動物や人が新しい薬、化粧品にどのように反応するかを分析することができる。そのような技術的模造品は、生きた組織での試験を完全に置き換えることはない。しかし、そのようなチップは、多くの動物実験を不必要にし、最終的には市場で認められる。
 このマイクロ流体システムは、すでに多くの医療実験で実証されている。「ドレスデン大学病院は、われわれのチップでテストされた細胞は、約一ヶ月生き続けていると報告している」とUdo Klotzbach。その臓器細胞は、古典的なシャーレと比べると、多臓器チップで遙かに長く生存している。
 また、多臓器チップの最新の並列バージョンは、生体のフロープロセスをより現実的に模擬する機会を可能にする。「人体では、様々な身体の部分、臓器や組織が様々な血液量を必要としている。例えば、脳は眼よりも遙かに多くの血液を受け取る。さらに、人の臓器は直列接続ではなく、血液は並列に供給される。したがって、研究チームは、チップの臓器チャンバを、血流が個別に調整できる並列チャネルで接続した」。
 微小バルブは、心臓発作をシミュレートすることもできる。ソフトウエアコマンドを使い、ユーザは、ある血管を詰まらせて、例えば、神経細胞が脳卒中にどのように、またどの時点で反応するかを調べることができる。
「次のステップは、追加センサの統合である。さらに、分析結果改善のためにマシンラーニングコンセプトも組みこみたい」とUdo Klotzbachはコメントしている。