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TU Wien、高解像度3Dプリンティングを使い人工胎盤を作製

Bio3D_Modell

August, 31, 2018, Wien--重要な生体膜の理解向上のために、新しい方法が必要とされている。ウイーン工科大学(TU Wien)の研究チームは、高分解能3Dプリンティングプロセスを使い、チップ上に人工胎盤関門を作製することに成功した。
 胎盤は、重要な、非常に複雑な役割を担う。母と胎児の間で重要な物質の交換を確実にしなければならない。同時に他の物質の侵入を阻止する。これまで、胎盤の透過性が何に依拠するかは十分に理解されていなかった。なんと言っても、人間のその機能を直接調べることは極めて難しい。
 このため、TU Wienは、自然の器官に非常によく似た人工胎盤モデルを作製した。特別に開発されたフェムト秒レーザベース3Dプリンティングプロセスを用いると、マイクロ流体チップ内に直接カスタマイズされたヒドロゲル膜を造ることができる。ヒドロゲル膜には、次に胎盤細胞が定着することになる。すなわち、母と子供間のグルコース交換など、極めて重要な研究問題で明確にできるようになったと言うことである。

母と子供の複雑な物質交換
 「生体膜を通した物質の輸送は、様々な医療分野で重要な役割を果たしている。これらに含まれるのは、血液脳関門、胃や腸における食物の摂取、また胎盤も含まれる」とTU Wienの材料科学と技術研究所、Aleksandr Ovsianikov教授は言う。
 たとえば、糖尿病のような母親の病気が胎児に影響を与えることを示す多くの研究がある。高血圧も物質の胎児への輸送に影響を与える。しかしこれまでは、そのようなケースで相互作用に多くのパラメータの関わり方を研究することはほぼ不可能である。

3Dプリンターで生体パーティションを持つ特殊チップ
 TU Wienの研究チームは、したがって、コンパクトなチップで臓器構造複製に取り組んでいる。目的は、制御された条件下で、それらの機能の重要面を研究することである。「われわれのチップは、2つのエリアで構成されている。1つは胎児、もう1つは母親である」とDenise Mandtは説明している。同氏は、論文の一環としてそのプロジェクトに取り組んでいる。「われわれは、特殊な3Dプリンティングプロセスを使い、両者間のパーティション(仕切り)を作る、つまり人工胎盤膜である」。
 TU Wienは、何年も前からこの種の高分解能3Dプリンティングにとり組んできて、大成功を収めた。これには、レーザビームで固化できる材料を使用する必要がある。これによって、マイクロメートルレンジの解像度で、所望の3D構造が、点毎に作れる。「われわれの場合は、生体適合性に優れたハイドロゲルを使用する。自然の胎盤モデルをベースにして、われわれは小さな曲がった絨毛を持つ表面を作る。すると胎盤細胞は、それにコロニーを作り、自然の胎盤によく似たバリアができる」とAleksandr Ovsianikovは説明している。

チップ上の器官
 「このorgan-on-a-chip(チップ上の器官)技術は、生体医療における画期的なアプローチである。近年、臨床診断、バイオテクノロジー、薬学で大きな関心を生み出しているチップ上に人間の最小器官を作ることにより、患者固有の治療的アプローチの開発が可能になり、動物実験を置き換える重要な方法になる」と細胞チップ研究グループ長、Peter Ertl教授は話している。
 チップ上では、重要な生物学的パラメータを密接にモニタできる、たとえばミニ器官の圧力、温度、形状、栄養供給、投薬の管理などである。これにより病気の進行や治癒度を正確に観察できる。
 最初のテストは、チップ上の人工胎盤が実際に自然の胎盤と同様に振る舞うことをすでに示している。小さな分子は透過が可能であるが、大きな分子は制御される。モデルは現在、特に、母から胎児への栄養移送の重要側面の研究に使用することになっている。
(詳細は、https://www.tuwien.ac.at)