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ハンドヘルドイメージャで眼の視細胞詳細画像を撮る

August, 27, 2018, Durham--デューク大学の研究チームは、幼児の眼の個々の光受容体を撮像できるハンドヘルドプローブを開発した。
 適応光学に基づいたその技術により、医師が眼病の診断のためにこれらの細胞を観察し、脳に関連する病気や心的外傷の早期発見が容易になる。
 光受容体は特殊神経であり、網膜の光を感知する細胞、眼の奥にある中枢神経系の延長である。網膜は、視神経を介して信号を脳に送る。そこで視覚情報が処理される。これまでの研究では、アルツハイマーやパーキンソン病を含む神経変性疾患、、脳震盪のような外傷性脳損傷が網膜の神経構造を変える。
 こうした神経構造を研究するために研究者は通常、適応光学スキャニングレーザ検眼鏡(AOSLO)を利用する。これは非侵襲的ツールであり、MRIよりも解像度は遙かに高い。
 従来のAOSLOで研究者は個々の光受容体細胞を視覚化できるが、そうしたシステムはビリヤードボード程度の大きさ、高価で、極めて複雑である、その利用は、端座して数分間凝視を固定できる患者に限定される。つまり、幼児や認知的あるいは運動に問題のある大人には使えない。
 新システム、HAOSLOはハンドヘルドAOSLOであり、わずか4×2×5.5インチで、重量は1/2ポンド以下である。
 デュークの研究チームは、光学的、信号処理および機械的設計を変えることによりAOSLOをハンドヘルドプローブに変革した。これには新しいアルゴリズムの開発が含まれる。これは、従来のAOSLOの大型波面センシングシステムを置き換える新しいアルゴリズムの開発、眼によって起こる光の歪みを検出する光コンポーネントの開発が含まれる。
 研究成果は、Opticaに発表された。
「他の研究者は、波面センサがアルゴリズムで置き換えられることを示したが、以前のアルゴリズムは、ハンドヘルドデバイスで使えるほど速くもなく、ロバストでもなかった」とデュークの生体医用工学部、論文の筆頭著者、Theodore DuBoseは話している。「われわれが開発したアルゴリズムは、従来技術よりも遙かに高速である、同様に正確である」。
 ツールは、12人の成人と2人の子供で臨床テストされた。チームは、窩に近い光受容体の詳細画像を撮れることを実証した。窩は網膜の中心であり、光受容体が最も小さく、視覚が最も鋭い箇所。
「われわれのツールは、高速で軽量であるので、医師は、それを直接患者に適用できる。そのプローブで、たとえ動きがあっても、画像を迅速に撮ることができる。こうした能力により、多くの人々がこの技術の恩恵を受けることができるようになる」。
 同ツールの新デザインにより、幼児の眼のイメージングが特に便利になる。例えば、早産新生児は眼病、網膜症などの発達の危険性が高い。これは、迅速に診断されないと失明することになる。研究者は、網膜をイメージングすることで、中枢神経系とともに発達する、子供の初期の脳の発達を追跡できる。
(詳細は、https://pratt.duke.edu/)