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スタンフォードチーム、心臓外科に3Dプリンティング利用

August, 10, 2018, Stanford--スタンフォード医学生、Kevin Cyrは、3Dプリンティングを使ってカスタム心臓外科機器を造る研究チームの一員である。
 2年生のKevin Cyrは、3Dプリントされたツールを使い心臓マッピングカテーテル、医師が心臓の電気的活動をマッピングし、乱れを発見するデバイスを設計している。
 研究は、心臓胸郭部手術准教授、Anson Leeの指導で数年前にスタートした。
 研究は、心房細動(AFib)に注力した。これは、不規則な、速い鼓動に特徴づけられる心臓疾患で、心臓から身体の他の部分への血流を乱す。これは最も一般的なリズム障害であり、アメリカには600万を超える患者がおり、毎年75万人が入院している。AFib患者の中にはほとんど問題がない人もいるが、他の患者は手術か投薬を必要とする重篤な合併症を患っている。
 Cyrによると、患者にリズム不全を見つけ、理解することは容易ではない。現行医療デバイスは、心臓表面に電極を接触させて電気的活動を計測する万能サイズだからである。研究チームは、個々の患者にカスタマイズし、個人の心臓固有の形状と凹みに適合したデバイスを造った。
 これをするために、患者はMRIあるいはCTスキャンを受けて心臓の画像ファイルを記録し、それを3Dプリンターに送り込んだ。Cyrによると、スキャンを使って「その患者の自然形状と生体構造を複製し」それをデバイスに適用する。
 デバイスは小さく薄い、柔軟なシリコーン膜で、グリッド状の微小な孔を持ち、それぞれに小さな電極がある。心臓の心房面に設置するとデバイスは、心臓のその特定部位で電気活動を計測できる。データはコンピュータに送られ、その場所での電気活動を示す記録が生成される。その記録は、電気活動の熱分布図を作り、医者はそれを使って処置を必要とする心臓の領域を特定する。
 カスタマイズされたデバイスは、極めて高精度に電気活動を追跡できる。「われわれは非常に詳細にこの方形グリッド情報をマッピングできる。信号の喪失、不良接触などの心配はない」とCyrは言う。
 研究チームは、3Dプリントしたデバイスが心臓の内部表面のマッピングにも使えるかどうかを調べている。もし使えるなら、そこでのリズムの乱れの計測が非常に正確になる。
 基本的な研究目標は、不規則な電気活動が起こる場所の特定、それらを除去して正常な電流にすることである。
 研究チームによると、開発技術の改良にはまだ2年程度かかる。現状では、人にテストしたことはない。