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次世代ワイヤレスペースメーカーのデモに3Dプリント心臓を利用

May, 22, 2018, Houston--ライス大学学生チームの次世代ワイヤレスペースメーカーアレイのデモンストレーションは、将来の医療センサを示唆するものである。
 電気・コンピュータ工学のLove and Paceチームは、米粒サイズのチップネットワークを心臓内部のさまざまな場所に設置するペースメーカーの設計デモを行った。これらは、患者の皮膚下に置かれた基地局と交信し、無線周波数で充電する。
 さまざまな形態のワイヤレス、リードのないペースメーカーが市場に出てきている。目的は、現状のものを置き換えることである。これは、患者の胸に設置されたパルスジェネレータであり、1~3本の有線刺激およびセンシングリードで心臓に接続されている。
 研究チームのコンセプトは、ネットワーク全体を心臓内部に設置することを狙っている。「現在の商用ソリューションは、弾丸サイズのペースメーカーで、心臓内部にバッテリがインストールされている。その効果は、心臓の1つの心室の調子を合わせるだけである」とチームのメンバー、Yoseph Maguireは言う。
 研究チームのコンセプトは、ミリメートルサイズのチップを心臓内に永久に埋め込んで使うことである。
 チームのデモシステムは、光トレースを持つ3Dプリントされた心臓とセンサ-シミュレータチップで構成されている。心臓は、プログラムされた異常性で作動する。センサチップが問題を検出してデータを基地局に送り、基地局は、心臓のリズムを調整するように、スティミュレータに命じて指定時刻に作動する刺激を発生させる。
 デモは、長いプロセスの第1段階に過ぎないことをチームは認識しており、プロジェクトは後続のチームが継承することになる。
 チームメンバー、Yoseph Maguireは、「心臓は、回路にとって極めてユニークな、過酷環境である。そのすべてを巨大な研究作業に統合したので、われわれにとっては概念実証の開発だけで十分である」と話している。
 ワイヤがないので、制御ユニットは心臓に埋め込まれたチップに継続的にパワーを供給し、無線周波数照射によってチップからデータを収集する、一般的なRFIDタグに見られるのと同じ技術である。チップは、25ナノジュールの電気で心臓筋肉を刺激する。
 Maguireは、「それはマスター/スレーブネットワークである。一度これらのチップを心臓内に設置し瘢痕組織で覆うと、チップはアグリゲータ(RFIDリーダーを持つ、より大きなボード)と通信し、すべてのデータを収集して処理し、チップにもどす」と説明している。
 「心臓内で事がうまく働かない場合、アグリゲータが、ペースを調整するように指示する。すべてのチャンバーで物事が良好に機能しているとアグリゲータが判断するまで、チップは継続してペースを調整する」。
 チームメンバーの一人、Cody Tapscottは、「医者は、患者の体内からリアルタイム情報を集めるためのよりよい方法を探しているので、その種のネットワークは一般的になる」と見ている。
(詳細は、www.rice.edu)