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ライス大学、1000万ドルNSF助成金獲得し可搬顕微鏡開発

March, 5, 2018, Pasadena--米国国立科学財団(NSF)は、ライス大学をリーダーとする研究チームに1000万ドル助成する。研究チームは、オンチップ照射とセンシングを使い、非侵襲的に100程度の健康状態の診断とモニタリングウエアラブルな臨床現場(POC)で使える顕微鏡を開発する。
 「プロジェクトは、生体内、3D組織イメージングのプラットフォーム技術を開発する。狙いは、カメラを身体の一部に向けて、切除や血液採取なしで皮下の生きた生物学を見ることだ」と主席研究者、Ashutosh Sabharwal教授は説明している。
 同教授のチームは、ライス、カーネギーメロン、ハーバード、MIT、コーネルからの共同研究者11名を含んでおり、NSFのコンピューティングプログラム調査(Expeditions in Computing)から新たな5年の助成金を勝ち取った3グループの1つ。調査は、NSFの学際的な取り組みであり、同機関最大のコンピュータと情報科学研究における単一研究。2008年以来、NSFは、Expeditionsプロジェクトに2億ドル以上投資している。
 「Expeditionsは、変革的研究を支援しており、われわれの目標は、ウエアラブル、POC、ベッドサイド診断、救急車、手術室などで使う微小化光ベース顕微鏡の実現である」と電気・コンピュータ工学教授、Sabharwalは説明している。。
 可視光は、柔らかな組織を透過する時、著しく散乱するので、医療イメージングには有用でない。
 研究チームは、この散乱光の問題を「コンピュテーショナル・スキャタログラフィ」という技術で解明しようとしている。数学的アルゴリズム、カメラ設計、イメージングセンサの組合せを使って、散乱光の経路をリバースエンジニアする。
 ライス大のコンピュータイメージングの専門家、電気・コンピュータ工学准教授、Ashok Veeraraghavanは、「われわれは、光をデスキャタ(de-scatter)しようとしている。工学では、これを逆問題と言う。地球科学者は、地震波に同様のインバース技術を用いて、地球内深部の状況を解明する。ある意味では、われわれの仕事は、もっと複雑だ。組織のわずか数ミリでも起こる光散乱量は、他の問題を遙かに凌駕しているからだ」とコメントしている。
 同氏は、白血球数(WBC)テストをプロジェクトの潜在的効果に挙げた。米国では、腫瘍学者は、毎週数100万のWBCテストを利用して化学療法患者をモニタする。WBCテストは、指を刺すか、採血を行い、研究室で実施する。つまり、病院か診療所でしか行えない。
 「腕時計程度のウエアラブルデバイスがセンサを使って連続的に白血球数を計測し、腫瘍学者のオフィスとワイヤレス通信することを考えると、患者は日常生活で自由に動き回ることができる。問題があった場合に病院に行けばいいことになる」とSabharwalは言う。
 同氏によると、スキャタログラフィプロジェクトの理解で重要な点は、1つや2つのヘルスケア問題の管理に役立つと言うことではない。
 「成功すれば、これは単に1つの製品ではない。100近い健康状態の治療で使える多数の製品に分けて製造できるプラットフォーム技術である」と同氏は話している。