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脳卒中後にリアルタイムで脳をモニタする非侵襲的光センサ

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March, 2, 2018, Washington--Biomedical Optics Expressに発表された研究成果によると、スペイン、Hospital de la Santa Creu i Sant Pauの研究チームは、新しいコンパクトな使いやすい光センシングシステムの現場試験を報告している。患者のベッドサイドでそのシステムを使いリアルタイムで、脳の血流を改善する血栓溶解薬の効果を検出することで同システムを実証した。
 現在、ほとんどの臨床医は、磁気共鳴やコンピュータ断層写真による1時点の計測を利用して脳の血流を判定している。このような計測は通常、医者の治療決定を助けるために、救急科入院時に行われる。経頭蓋ドップラ法は連続的にモニタするが、大血管の血流を計測するだけであり、その使い方と結果の解釈方法を学ぶために医者は特別な訓練を受けなければならない。
 同病院、卒中科リーダー、Raquel Delgado-Mederosは、「われわれの光学モニタリングアプローチは、脳組織に直接血液を供給する脳の微細血管の血流を連続計測することができる。また、われわれが開発したシステムはポータブルであり、患者のベッドサイドで脳の血流の連続計測に適している。技術専門家は不要である」と説明している。
 その光モニタリング技術は、拡散相関分光法(DCS)をベースにしている。これは、血管を含む組織をレーザ光が伝わることによって生ずる明暗点、つまり斑点の変動を分析することで血流を判定する。DCSと近赤外分光法(NIRS)を組み合わせると、脳組織の血液量、それがどの程度酸素を含んでいるかについての情報が得られる。 
 統合DCS/NIRSアプローチは、論文の共同著者、Turgut Durduranのチームが、1990年代にペンシルバニア大学で開発した。後に、ICFO – フォトニックサイエンス研究所、Durduranのグループが使いやすいデバイスを開発した。これによりその技術は、世界中の病院やヘルスケアセンタで研究ツールとして使うことができるようになった。
 それまでの研究測定器を救急科の厳しい臨床設定にするために、研究チームは、同システムを高速実装に適用させる必要があった。研究チームが開発したコンパクトで使いやすいDCS/NIRSシステムは、患者の額に設置される2つの光プローブで構成されている。これらのプローブは、赤外レーザからの光を伝える特注ファイバオプティクスを収容している。光は皮膚と頭蓋骨を通して、脳の最外層に届く。この光の一部が散乱して表面に戻り、そこで光ファイバによって検出され、脳の微小血管の血流と血中酸素の計測に使われる。
 「光モニタリングにより、われわれは、処置による脳の血流と酸素の増加を検出できた。新しいシステムで検出された血流の増加は、経頭蓋ドップラ法を使って見た閉塞動脈、神経脱落症状と関連があった」。
 新しい研究は、DCS/NIRS光学モニタリングを使って、卒中後の脳の血流と酸素を判定することが実行可能であることを示していた。