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クイーンメリー大、生体模倣インクによる3Dプリント細胞構造を研究

February, 21, 2018, London--クイーンメリー大学ロンドン(Queen Mary University of London)の研究チームは、通常自然組織で見つかる細胞と分子を使うプリンティング技術を開発した。目的は、生体構造と似た構造物を作製することである。
 これら構造物は、自然環境と同様のインクに埋め込まれており、体内と同様の振る舞いをする可能性がある。
 これにより研究者は、これらの環境内で細胞がどのように活動するかを観察することができる。また、どこにガンが成長するか、免疫細胞が他の細胞とどのように相互作用するかなど生体シナリオを研究することができる。これは、新薬の開発につながる。
 同技術は、分子の自己組織化、レゴピースのように分子の組織化による構造構築と、積層造形(3Dプリンティング)を組み合わせて、複雑な構造を再現する。
 構造物は、デジタル制御下、分子精度で製造可能であり、研究者は、生体組織工学、再生医療のための身体部分、組織を模倣する構造物を作製することができる。
研究成果は、Advanced Functional Materialsに発表された。

クイーンメリー大学工学・材料科学、Alvaro Mata教授は、「この技術によって、複雑で特殊な細胞環境のような生体シナリオの設計と作製の可能性が開かれる。これは多様な分野で利用できる。例えば、組織に似た構造物を作ることで再生医療、あるいはより効率的な方法で薬剤をテストするために使用するビトロモデルに役立つ」とコメントしている。

同技術は、構造的特徴のマイクロおよびマクロコントロールを組み込んでいる。これはプリンティングによってもたらされるもので、自己組織化によって可能になる分子およびナノスケール制御である。これにより、同技術は、3Dプリンティングにおける主要な要求に対処する。ここでは、一般に使用されるプリンティングインクが、プリントされる細胞を積極的に刺激する能力を制限している。
 PhD学生、Clara Hedegaard、論文の筆頭著者は、「この方法は、マルチスケールで、明確な構造に組織化できる多種の生体分子をプリントすることにより、3D構造の構築を可能にする。このため、自己組織化インクは、プリンティング中、プリンティング後に化学的,物理的特性コントロールの機会を得る、これは細胞の挙動を刺激するように調整可能である」と説明している。
 この研究は、シンガポールの南洋理工大学、オクスフォード大学と協働で行った。
(詳細は、http://www.qmul.ac.uk/media/news/2018)