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新しいレンズレスカメラで走査なし3D詳細画像生成

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January, 5, 2018, Washington--カリフォルニア大学バークリー校の研究チームは、レンズなしで、シングル2D画像から3D画像を創る、製造容易なカメラを開発した。同技術の最初のアプリケーションで研究チームは、その新しいカメラ、DiffuserCamを使って生きたマウスの微小なニューロン活動を顕微鏡なしで観察することを計画している。究極的に、そのカメラは3Dキャプチャに関連する幅広いアプリケーションに使えることが実証される。
 そのカメラはコンパクトで、安価に作製できる。イメージセンサの上に置いた、プラスチック上のディフューザでできているだけだからである。ハードウエアはシンプルだが、それが高解像度3D画像を再構築するために使うソフトウエアは、非常に複雑だ。
 「DiffuserCamは、シングルショットで、高解像度大量の3D情報を取得する」とカリフォルニア大学バークリー校の研究チームリーダー、Laura Wallerは言う。「そのカメラは自動運転車にとって役立つ。そのような車では3D情報がメモリ感覚を提供する、あるいはマシンラーニングアルゴリズムで使って顔認識、人々の追跡、物体の自動分類を行う」。
 Opticaに発表した論文では、DiffuserCamが、1.3Mpixelの画像からスキャニングなしで1億ボクセル(3Dピクセル)再構築に使用できることを示した。比較のために、iPhone Xカメラは、12-Mpixelの写真を撮る。研究チームはそのカメラを使って、小さな植物の葉の3D構造を捉えた。
 「新しいカメラは、コンピュータイメージングで達成可能な好例、ハードウエアとソフトウエアをいっしょに使ってイメージングシステムをどのうよに設計できるかを調べるアプローチである」とWallerは話している。「われわれは、協調的取り組みによりハードウエアを著しくシンプルかつ安価にした。ソフトウエアは非常に複雑であるが、それは簡単に複製あるいは分散できるので、他の人はこの種のカメラを自宅で造ることができる」。
 DiffuserCamは、どんな種類のイメージセンサを使っても造れ、ミクロンスケールから人のサイズまでの対象物を撮像できる。センサ近くで対象物をイメージングすると、解像度は数10ミクロンの範囲である。センサから遠く離れた情景をイメージングすると解像度は落ちるが、それでもカメラに数フィート近い位置に立っている人と別の1人とを区別できる程度の解像度である。
 DiffuserCamは明視野カメラの一種。明視野カメラは、イメージセンサのピクセルに当たる光量、そのピクセルに当たる光の角度を捉える。一般的な明視野カメラでは、センサ前面に置いた微小なレンズアレイを使って入射光の方向を捉え、コンピュータアプローチで画像リフォーカスし3D画像を創る。3D情報を得るために一般に必要とされるスキャニングステップは不要。
 これまで、明視野カメラは、空間解像度に制約があった。方向性情報を収集する際の空間情報が一部失われるからである。これらのカメラの別の欠点は、マイクロレンズアレイが高価で、特殊カメラ、イメージング用の光コンポーネント向けにカスタマイズが必要だからである。
 様々なタイプのディフューザで実験し、複雑なアルゴリズムを開発した後、Waller研究室の学生Nick Antipa とGrace Kuoは、シンプルな明視野カメラというWallerのアイデアが可能であることを見いだした。実際に、プライバシーガラスステッカーのランダムバンプ、スコッチテープあるいはプラスチックのコンファランスバッジを使うことで研究チームは、従来の明視野カメラの機能を高めることができた。ここでは,マイクロレンズアレイにともなう一般的な解像度低下を避けるために圧縮センシングを利用した。
 他の明視野カメラは、精密設計、配置されたレンズアレイを使用するが、新しいカメラのディフューザのバンプの正確なサイズや形状は分からない。すなわち、イメージングに先だってソフトウエアを調整するために動く光の点の画像をいくつか取得しなければならない。研究チームは、調整のために生データを使うことで、このキャリブレーションステップをなくす方法に取り組んでいる。また、ソフトウエアの精度改善、3D再構築の高速化をしようとしている。
 新しいカメラは、カリフォルニア大学バークリー校のプロジェクトで使用されることになっている。プロジェクトの狙いは、単一細胞の正確さで1000のニューロンを刺激しながら、100万の個々のニューロンを観察すること。同プロジェクトはDARPAの神経工学システムデザイン(Neural Engineering System Design)から助成金を受けている。これは連邦政府のBRAIN Initiativeの一環。インプラント可能な、生体適合神経インタフェースを開発する。究極的には、視覚あるいは聴覚障害を補償することを狙っている。
 第1段階として研究チームは、皮膚モデムというものを造ろうとしている。これは、「読み取り」、動物モデルの脳に「書き込む」、インターネットモデムの入出力動作と似ている。DiffuserCamは、このプロジェクトの読み取りデバイスの心臓部となる。また、研究者が光でニューロンの活動を制御できる特別なタンパク質も使う。
 「マウスの脳でニューロンが発火するのを観察するためにこれを使うことは、将来的にわれわれが知覚について理解を深めるのに役立つ。また、アルツハイマ病や精神障害のような病気の治癒にも使える知識を提供する」とWallerは話している。
 新開発のイメージング技術は,数100のニューロン発火を捉えることができるが、脳が大規模にどのように機能するかは十分に分かっていない。DiffuserCamは、ワンショットで数100万のニューロンをイメージングすることによって、そのような洞察を提供する可能性がある。カメラは軽量で、顕微鏡や対物レンズを必要としないので、マウスの頭蓋骨の透明なウインドウに取り付けることができる。これによってニューロンの活動を挙動に関連付けることができる。重複するディフューザのいくつかのアレイをタイル状にして、広いエリアをイメージングすることができる。
(詳細は、https://waller-lab.github.io/DiffuserCam/)