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VTT、創部ケアと装飾用に3Dプリンティング材料を開発

September, 22, 2017, Espoo--セルロースナノファイブリルは、バイオベース3Dプリンティングペーストの特性を改善できる特性を持つ。
 フィンランドのVTT Technical Research Centreは、病院での看護で傷の状況をモニタリングするための3D創部ケア製品を開発している。しかし、最初の商用ナノセルロースアプリケーションは、屋内装飾エレメント、布地、モックアップ製造で見られることになる。
 3Dプリンティングは、複雑な特注の、軽量構造のための効率的な製造法となることが分かっている。熱可塑剤に加えて、3Dプリンティング材料には、金属、セラミック、食材が含まれる。ペースト固有の課題があるため、3Dペーストプリンティングにおける生体材料の範囲はまだ非常に限られている。その構造は、プリンティング中に崩れてはならない、また製造された物体は十分に強力であり、乾いた後には硬く、あるいは柔軟でなければならない。とは言え、3D生体材料フィラメントは、すでに商用製品が存在する。
 セルロースナノファイブリルは、耐久性がある生体ベースの商用3Dプリンティング材料を開発する機会を提供する。それは、現在利用されている、レジン、合成増粘剤、補強材やプラスチックなど化学物質の代替となり得る。化学物質の利用は、有害な排出物、アレルギーを起こす化合物を生成する可能性がある。
 ナノセルロースは、医療応用では魅力的なオプションである、例えば薬剤分子のキャリアとして利用できる。VTTは現在、3Dプリントガーゼ付絆創膏に付着させたタンパク質が傷の周囲の皮膚細胞の成長を促進するようなソリューションを開発している。目的は、治癒した創傷部が硬い瘢痕組織にならずに、柔軟なままとなるようにすることである。開発は、タンペレ大学と共同で行われ、BioDisp3DプログラムにしたがいAcademy of Finlandが助成する。同じ材料開発プロセスは、化粧品業界、人工骨の製造でも利用できる。
 VTTの創傷ケアプロトタイプは、ナノセルロース、創傷ケアで使われるタンパク質、傷の治癒を計測するプリントエレクトロニクスを単一の製品に統合する。計測電極は、銀のインクで、ポリウレタン-ナノセルロースでできた膜にプリントされている、電極は、VTTが開発したワイヤレスFlexNodeリーダー用の接続ポイントを提供する。電極は、別の層状膜で保護されている。この層の上に3Dプリントされた創部ケアゲルがあり、これはナノセルロース、アルギン酸およびグリセロールを活性成分として含んでいる。FlexNodeリーダーは、温度または創部からの生体インピーダンスデータをヘルスケアチームが使用するコンピュータにワイヤレス送信する。リーダーは、創部に接続されており、ガーゼで患者に取り付けられている。
 ナノセルロースは、まだ医療利用が承認されていないので、このアプリケーションが病院で使用されるまでに数年はかかる。
 VTTは、バイオベースのプリンティング材料も開発している。装飾繊維、モックアップ、屋内装飾エレメントおよび創部ケアの治療アプリケーション向けである。
 材料の適切な組み合わせを選ぶことで、必要に応じて、柔軟な構造と硬い構造の両方をプリントすることが可能になる。製品特性も他の方法でカスタマイズ可能である。
 ナノセルロースは、装飾エレメントで新しい表面模様を創る機会を増やす。その開発は、様々なアプリケーションにおいて、まだ光と湿気の試験を必要としている。材料のプリンティングも3Dプリンティングカスタマイズモールド用に利用可能である。
 例えば、セルロース、あるいは農業または食品生産から製造された、セルロースナノファイブリル(CNF)は、3Dプリンティングペーストに適している。機械的強度、粘性および生分解性があるからである。特に、CNFsは、3D構造の堅さ改善に適している。ファイブリルがクロスリンクする仕方が構造の特性に影響を与え、湿気耐性、剛性および柔軟性が得られる。
 CNFsの優れた水吸収能力のために、プリンティングペーストは、3Dプリンティングプロセスに十分な粘性が得られる。3Dプリンティングペーストは、プリンティング中にペーストが流れ出さないように、最大50%の水を含むことができる。
 VTTは、CNFsを使って柔軟な、硬い、また多孔性の構造を開発してきた。バイオベースの材料から柔軟な構造を製造することは容易ではない、物体が硬くなったり、乾くともっと硬くなるからである。