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ガン検出を改善する新しQDシステム

August, 28, 2017, Sunnyvale--Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute (SBP)の研究チームは、腫瘍可視化を飛躍的に向上させる概念実証ナノシステムを開発した。同システムは、既存の腫瘍特化光学イメージング法に対して5倍の改善を達成している。新しいアプローチは、「量子ドット(QD)」を、中毒作用なしにガン細胞に供給することで明るい腫瘍信号を生成する。
 Kazuki Sugahara, M.D., Ph.D.の説明によると、「腫瘍イメージングは、ガン検出、処置、処置後の患者の経過の追跡の不可欠の部分である。過去20年で大きな進歩があったが、もっと高感度の検出法、われわれが開発しているような方法が、より個別化された、潜在的にもっと有効な介入に貢献し、ガン患者の臨床結果を改善する」。 
 新しい方法は量子ドット(QD)と背景信号を除去する「エチャント」を利用する。QDは、光に晒されると強い蛍光信号を発する。QDは、静脈を通して供給され、その一部が血流を離れ、膜組織を透過し、ガン細胞に入り込む。血流に残る過剰なQDからの蛍光信号は、エチャントを注入することで見えるようになる。
 「われわれのナノシステムの新しさはエチャントの働き方だ」と新方法を開発したGary Braunは説明する。エチャントとQDは「陽イオン変換」する。これは、QD内の亜鉛がエチャントの中で銀と交換されるときに起こる。銀を含むQDは、その蛍光機能を失う。エチャントは膜を透過してガン細胞に到達しないので、腫瘍に到達したQDは蛍光を発し続ける。こうして、プロセス全体が背景蛍光を除去し、同時に腫瘍特定信号を維持している。
 この方法は、乳がん、前立腺ガン、胃腫瘍を持つマウスを使って開発された。QDは、輸送経路を活発化させる腫瘍浸潤ペプチドiRGDを使って積極的に腫瘍に供給された。輸送経路は、バイスタンダー分子、この場合は蛍光QDとともにペプチドをガン細胞に押し込む。iRGD法は、元はRuoslahtiの研究室で開発されたものである。
 Sugahara氏は、「われわれが知る限りでは、これは、イメージングの選択性を強化するために、背景を破壊するエチャントが使われる初の体内例である。光学イメージングの一般的なカットオフ、2.5と比べて、われわれは腫瘍特異的なコントラスト指数、5~10倍を達成することができた」と話している。
 研究チームは、さらにこの新しいナノシステムをPETスキャンやMRIのような所定のイメージングテストと連携する開発に注力する。
(詳細は、www.newswise.com)