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大阪大学、「切らない組織診断」でリアルタイムにガンを診断

August, 10, 2017, 大阪--大阪大学大学院医学系研究科の松井崇浩特任助教、石井優教授(免疫細胞生物学)、森正樹教授(消化器外科学)らの研究グループは、固定、染色などの工程を行わずに、生きた組織のまま大腸の深部まで迅速に観察でき、大腸がんをリアルタイムに診断できる方法を開発した。

従来のがん診断には、病変部から組織を切り取ったのちに多くの処理工程を経てガラス標本を作製してから、顕微鏡を用いた観察により診断を行っているが、組織採取に侵襲的な処置が必須であり、また検査を受けてから診断されるまでに時間がかかることが課題となっている。

今回、研究グループは、最新の生体可視化システムである多光子励起イメージング技術を用いることにより、固定、染色など従来の処理工程を行うことなく、生きた組織のまま迅速にヒト大腸組織の深部が観察できる方法を開発することに成功した。この方法を用いることにより、正常の大腸組織や大腸がんの組織を、従来の診断方法よりも低侵襲的、迅速、そして定量的に診断することが可能となる。今後、今回用いた技術を内視鏡などの医療機器へ応用することによって、患者の負担が少なく、迅速ながん診断が行えると考えられ、また早期がんの診断や内視鏡治療の分野などにも今回の開発手法が精度向上に大きく貢献することが期待される。
研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に、7月31日(月)18時(日本時間)に公開された。
(詳細は、www.osaka-u.ac.jp)