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KTN結晶を用いた光スキャナ搭載硬性内視鏡で生体組織3Dイメージング

April, 17, 2017, 大阪--NEDOは、NTTアドバンステクノロジ、大阪大学と共に、特殊な電気光学特性を持つKTN結晶を用いた、小型、高速、低消費電力で駆動する光スキャナにより、世界で初めて硬性内視鏡による生体組織の3次元イメージングに成功した。
 これにより、組織内部のイメージをリアルタイムに低侵襲な診断・治療をすることが可能になる。
 今後、NTTアドバンステクノロジは整形外科をはじめとする幅広い医療分野に対し、診断・治療用デバイスとして医療機器メーカーへの提供を目指す。

開発した硬性内視鏡は、患部表面を面的に捉えるKTN光スキャナと、患部の深さ方向の生体組織を高精細に観察できるOCTを組み合わせることで、3次元イメージの取得を可能にしている。硬性内視鏡の先端部にはレーザ光を体内に届けるための直径7mm、長さ53mmのレンズが装着される。このレンズを体の表面に開けた小さい穴から体内に挿入して患部をイメージングする。今回は、実際に体内に挿入はせずに、ヒトの指の表面から3次元イメージを取得し、汗腺、真皮等の複雑な内部構造を十分イメージングできたことから、実用レベルの分解能が得られていることを確認した。

今回実現した硬性内視鏡は、KTN光スキャナが持つ以下の特徴を最大限に活用した成果。
1.小型かつ透過型のKTN光スキャナ
 今回開発した硬性内視鏡は、KTN光スキャナ2台で構成されている。患部の表面を面的にスキャンするには、KTN光スキャナ2台の光学的な組み合わせが必要。従来の一般的な光スキャナがポリゴンミラーやMEMSのように鏡でレーザ光を反射させる反射型であるのに対し、KTN光スキャナは透過型であり、レーザ光を折り返すなどの複雑な構成は不要。このため、レーザ光の光軸に沿って少数の光学部品を直線的に配置することで低損失化を実現し、患部からの微弱な戻り光を損失無くOCTで検出し、高品質なイメージングが可能。このシンプルな光学系により16mm角×183mm長、重さ60gという長時間の利用に耐えられる小型で軽量な硬性内視鏡を実現した。

2.可動部分が無い安定な動作
KTN光スキャナは、電圧によって結晶内部の屈折率分布を制御する新しい光スキャナであり、ポリゴンミラーやMEMSのように機械的な可動部分が無い構造。このため、長期信頼性に優れ、長時間の使用においても安定に駆動する。さらに本体が振動しないため、手術時の精密な操作が可能であり、安定したイメージングを実現する。

3.電気光学効果による低消費電力動作
KTN光スキャナは電気光学効果によって動作し、KTN光スキャナを構成する結晶それ自体が誘電体であるため、結晶内部に電流は流れない。このため、現在最も普及しているポリゴンミラーや従来のOCTに用いられているガルバノスキャナに比べ1/1000の省電力化が可能。
(詳細は、www.nedo.go.jp)