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光線療法でミツバチを有害農薬から救う

November, 21, 2016, London--ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)の研究によると、ミツバチに光線療法処置することでネオニコチノイド系農薬の有害な影響に対抗し、毒に侵されたミツバチの生存率を高めることができる。
 UCL眼科研究所Glen Jeffery教授、論文のシニア著者は、「研究チームは、商用のミツバチ巣箱に設置できる小さなデバイスを開発している。これは、非常に広範囲に広がる問題に対する経済的な解である」とコメントしている。
 農薬は、ミトコンドリアの機能を弱め、細胞機能を促進するエネルギーの流れ、ATPの生成を危うくする。これは、ネオニコチノイドに触れたミツバチの動きを鈍くし、自ら餌をとれなくなって、ミツバチは餓死する。
 研究チームは、商用巣箱の4グループ、各コロニーで400を超えるミツバチを使用した。2グループをネオニコチノイドに10日間触れさせ、1グループは同じ期間光線治療で処置した。毎日、近赤外(670nm)光を15分巣箱に照射した。
 毒に侵されて光線治療を受けなかったミツバチの運動性は急速に低下した、ATPレベルが低下したためである。それにともない、生存率が低下した。毒に侵されたが光線治療も受けたミツバチは運動性と生存率が大きく改善し、毒に侵されなかったハチと同様に生存率も高く、機能も同じだった。1つのグループは、毒に侵されていないが光線治療を受けた。その生存率は制御グループよりもはるかによかった。研究チームは、深紅の光はミツバチに見えないので、ミツバチの行動を妨げないことを確認した。
 光線療法は予防措置として最も有効であるが、毒の被爆に応じた治療にも、被爆から数日以内にスタートすれば、役立つことを確認した。
 UCL眼科の研究チームは、ミツバチにとって有効であるという理由だけで近赤外光治療を研究しているのではない。近赤外光治療は人間を含む他の動物にも有効である。特に老化防止や広範な神経疾患にも効果がある。