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将来のナノロボティクスの基盤となるナノエンジンを開発

May, 9, 2016, Cambridge--ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究チームは、将来生きた細胞に入り込めるようなナノロボティクスのアプリケーション基盤を形成するナノエンジンを作製した。
 ナノエンジンは、動力に光を使用する。研究チームが開発したナノスケールエンジンは、水中を航行し、周囲の環境を検知し、生きた細胞に入り込んで病気と闘うことさえできる将来的なナノマシーンの基盤となる。
 プロトタイプデバイスは、微小な金の荷電粒子でできており、ゲル状の温度応答性ポリマと結合している。レーザで「ナノ粒子」を一定の温度まで加熱すると、ポリマ被覆がゲルからすべての水分を放出しつぶれるので、1秒もたたないうちに大量の弾性エネルギーが蓄積される。これが、金ナノ粒子を結合して強く密着させる効果である。しかしデバイスが冷えると、ポリマは水分を取り込んで膨らみ、バネのように、金ナノ粒子は強く素早く押し離される。
 ケンブリッジのカベンディッシュ研究所のDr Tao Dingは、「これは爆発の様だ。水分子が粒子の周りのポリマを膨らませると、100万分の1秒で何百もの金ナノ粒子が飛び散る」とコメントしている。
 この微小なデバイスが発揮する力は、これまでに作製されたデバイスと比べて数桁も大きく、単位重量あたりの力はどんなモーターや筋肉と比べても100倍大きい。研究チームによると、そのデバイスは生体適合的であり、経済的に製造可能であり、応答が速く、エネルギー効率が良い。
 この研究のリーダー、Jeremy Baumberg教授はそのデバイスをANTs (actuating nano-transducers)と名付けた。「直面している課題は、ナノ機構応用に向けてその力をどのようにコントロールするかである」と同教授は話している。
 研究では、ヴァンデルワールスエネルギー、原子と分子との引力をポリマの弾性エネルギーに変えて、それを素早く解放することが提案されている。「プロセス全体は、ナノスプリングのようである。金属粒子にヴァンデルワールス力を利用し、スプリング(ポリマ)と水分子を使って粒子を解放させる、これは極めて可逆的であり再現可能である」と同教授は説明している。