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Science/Research 詳細

中赤外プラズモニクス用の材料を合成

March, 5, 2015, Surrey--ノースカロライナ州立大学(NC State)の研究チームは、中赤外域の光に反応する効率的なプラズモニックデバイス実現に使用できる材料を確認し合成した。
 この領域の光に効率的に反応する材料を実証したのはこれが初めてであり、アプリケーションとしては高速コンピュータから太陽エネルギー、生体医療デバイスまでがある。
 表面プラズモン共鳴という現象が焦点になっており、研究者たちが伝導性と絶縁性の境界に光を当てるときにこれが問題になる。入力光の角度、偏光、波長が適切であれば、導体内の電子が振動を始める。この振動が強電界を造って絶縁体内に広がる。これは、生体医療センサから太陽電池、光電デバイスまで、あらゆるもので利用可能である。
 このような振動を造り出す光波長は、導体材料の性質に依存する。自由電子の密度が高い材料(金属など)は、紫外域など、短い光波長に反応する。電子密度が低い材料(通常の半導体など)は、遠IRなど長波長の光に反応する。しかしこれまでは、大きなギャップがあった。研究者は、中赤外(mid-IR)の光(1500~4000)を当てたとき、効率的な表面プラズモン共鳴をサポートする材料を特定できなかった。
 NC State材料科学/光学教授、Dr. Jon-Paul Mariaによると、中赤外光に反応する表面プラズモン共鳴を示す材料見つけ出す実用的な理由は、少なくとも3つある。
 1つは、中赤外光を利用して太陽光を効率的に収集する技術、2つ目は、生体医療応用で使う高度化された分子センシング技術の開発への利用、3番目がより高速で高効率の光電デバイスの開発に利用できること。
 同氏によると、そのような材料の合成が可能になった。「その材料は、中赤外域で低損失の表面プラズモン共鳴を効果的に示している。つまり、中赤外光を効率よく共鳴電子に変換する」。
 研究チームは、酸化カドミウム(CdO)に希土類元素ディスプロシウム(Dy)をドープした。これによって2つのことをする。1つは、材料内に自由電子を造る。次に、電子の移動性が生ずる。全体として、これによって中赤外光が電子の効率的な共振を誘導しやすくする。
 「通常、ある材料をドープすると、電子移動度が低下する。しかし、この場合は逆であることが分かった。ディスプロシウム(Dy)のドープを増やすと、この重要な特性が強くなる。Dyドーピングによって、CdO結晶内の酸素空孔の数が減少することが実験で明らかになった。酸素空孔とは、酸素原子の欠如した場所であり、電子の散乱が強く、電子運動と相互作用する。こうした欠陥を除去することによって、電子の散乱が減り、より移動度が強まる」とMaria氏は説明している。
(詳細は、www.ncsu.edu)